不動産鑑定評価基準

事例の収集及び選択(事例選択4要件)

不動産の評価では「どの事例を使うか」が大切

不動産の価値を判断するときには、実際に行われた不動産の取引や、賃貸の事例などが重要な手がかりになります。

たとえば、自宅の土地がいくらくらいなのかを考えるとき、近くにある似た土地が最近いくらで売れたのかを知ることができれば、大きな参考になるでしょう。

しかし、取引された不動産なら、どんな事例でも参考にできるわけではありません。

場所や土地の広さ、利用方法などが大きく違えば、同じように比較することは難しくなります。また、取引された時期が大きく違えば、その間に不動産市場そのものが変化している可能性もあります。

そのため不動産鑑定では、まず評価に必要な事例を幅広く集め、その中から対象となる不動産の価値を判断するうえで適切な事例を選び出します。

つまり、事例は「たくさん集めればよい」のではなく、どの事例を根拠として使うのかを慎重に見極めることが重要なのです。

ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、どのような事例を収集し、その中からどのような基準で事例を選択するのかを見ていきましょう。

事例の収集及び選択(事例選択4要件)

かんてい先生
かんてい先生

鑑定評価では、手法に応じて**「建設事例」「取引事例」「収益事例」**などの取引事例等を集めて利用します。

ただ集めればよいのではなく、計画的に幅広く収集し、その中から信頼できる適切な事例を選ぶことが重要です。投機的な取引など、適正さを欠く事例は使用できません。

鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる事例には、原価法の適用に当たって必要な建設事例、取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例及び収益還元法の適用に当たって必要な収益事例(以下「取引事例等」という。)がある。
取引事例等は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない。
取引事例等は、次の要件の全部を備えるもののうちから選択するものとする。

要件①(場所的同一性)

次の不動産に係るものであること
① 近隣地域又は同一需給圏内の類似地域若しくは必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域(以下「同一需給圏内の類似地域等」という。)に存する不動産
② 対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等において同一需給圏内に存し対象不動産と代替、競争等の関係が成立していると認められる不動産(同一需給圏内の代替競争不動産)

かんてい先生
かんてい先生

取引事例等は、基本的に近隣地域や同一需給圏内の類似地域等にある不動産の中から選びます。

ただし、対象不動産の最有効使用が近隣地域の標準的使用と異なる場合などは、同一需給圏内で対象不動産と代替・競争する「同一需給圏内の代替競争不動産」から選ぶこともあります。

要件②(事情的同一性)

取引事例等に係る取引等の事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。

かんてい先生
かんてい先生

取引事例等は、特別な事情に左右されていない、通常の取引等であることが必要です。

もし売り急ぎなどの特殊な事情が含まれていても、その影響を適切に補正して、正常な状態に直せる事例であれば利用できます。

要件③(時点修正可能性)

時点修正をすることが可能なものであること。

かんてい先生
かんてい先生

取引事例等は、取引された時点から価格時点までの価格変動を適切に反映できるものである必要があります。

簡単にいえば、「昔の取引価格を、現在など評価したい時点の価格に直せる事例」でなければならないということです。

要件④(要因比較可能性)

地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。

かんてい先生
かんてい先生

取引事例等は、対象不動産と比べて、地域要因と個別的要因の違いをきちんと比較できるものである必要があります。

簡単にいえば、「地域の違い」と「土地や建物そのものの違い」を比べて、価格差を適切に判断できる事例を選ぶということです。

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