「正常価格」ってどんな価格?
不動産の価格は、売る人・買う人の事情によって大きく変わることがあります。
たとえば、「どうしても今月中に売りたい」という事情があれば、相場より安い価格でも売却するかもしれません。反対に、「どうしてもこの土地が欲しい」という買主がいれば、相場より高い価格で取引されることもあります。
こうした特別な事情に左右された価格では、その不動産が一般的にどれくらいの価値を持つのかは判断しにくくなります。
そこで不動産鑑定で基本となるのが、**「正常価格」**です。
簡単にいえば、売主・買主のどちらかに特別な事情がある取引ではなく、一般的な市場で合理的に売買されたとしたら成立すると考えられる適正な価格です。
不動産鑑定では、この正常価格を基本として、不動産そのものの特徴だけでなく、市場でどのような価格が成立すると考えられるのかを分析していきます。
ここからは、不動産鑑定評価基準に書かれている「正常価格」の定義を、言葉を一つずつ噛み砕きながら見ていきましょう。
正常価格の定義
定義
「正常価格」とは、特別な事情のない一般的な市場で売買するとしたら、いくらになるかを表す適正な価格のことです。
簡単にいえば、**「今の市場で、普通に売ったらどれくらいの価値があるのか」**を示す価格なんですね。
正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場」とは?
「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場」というと硬い文面でイメージしにくいですが、以下の3つの条件を満たす市場のことです。
要は、私たちが通常行う売買の場面とはかけ離れている、特殊なケースのことですね。
(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退出が自由であること。なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するため次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し、行動するものとする。
① 売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。
② 対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。
③ 取引を成立させるために通常必要と認められる労力、費用を費やしていること。
④ 対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。
⑤ 買主が通常の資金調達能力を有していること。
(2)取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。
(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。