不動産鑑定評価基準

事情補正

特別な事情で決まった取引価格は、そのまま使わない

不動産の価値を考えるうえで、実際にいくらで売買されたのかは重要な手がかりになります。

しかし、実際の取引価格が、いつもその不動産の一般的な価値をそのまま表しているとは限りません。

たとえば、売主が「どうしても早く現金化したい」という事情から、通常より安い価格で売却することもあります。反対に、買主側の特別な事情によって、通常より高い価格で取引されることも考えられます。

こうした特別な事情が取引価格に影響している場合、その価格をそのまま別の不動産の評価に使うと、適切な結果にならない可能性があります。

そこで不動産鑑定では、取引価格に特殊な事情が影響している場合に、その影響を取り除いて、より適切に比較できる価格へと修正することがあります。これが「事情補正」です。

つまり事情補正とは、実際の取引価格を否定するものではなく、**「この取引に特別な事情がなかったとしたら、どのような価格だったのか」**という視点から価格を捉え直す考え方です。

ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、どのような場合に事情補正が必要になるのかを見ていきましょう。

事情補正

かんてい先生
かんてい先生

取引事例等に、売り急ぎなどの特殊な事情があり、それが価格等に影響している場合は、その影響を取り除くための補正が必要です。

簡単にいえば、**「特殊な事情で高くなった・安くなった価格を、その事情がなかった場合の価格に直してから使う」**ということです。

取引事例等に係る取引等が特殊な事情を含み、これが当該取引事例等に係る価格等に影響を及ぼしているときは適切に補正しなければならない。

要件①

現実に成立した取引事例等には、不動産市場の特性、取引等における当事者双方の能力の多様性と特別の動機により売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情が存在する場合もあるので、取引事例等がどのような条件の下で成立したものであるかを資料の分析に当たり十分に調査しなければならない。

かんてい先生
かんてい先生

取引事例等は、基本的に近隣地域や同一需給圏内の類似地域等にある不動産の中から選びます。

実際の取引には、売り急ぎ・買い進みなど、通常とは異なる事情が価格に影響している場合があります。

そのため取引事例等を利用するときは、「なぜこの価格で取引されたのか」という取引の背景や条件まで十分に調査することが重要です。

要件②

特殊な事情とは、正常価格を求める場合には、正常価格の前提となる現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる諸条件を欠くに至らしめる事情のことである。

かんてい先生
かんてい先生

「特殊な事情」とは、通常の市場で成立する正常価格とは異なる価格になる原因となる、特別な事情のことです。

簡単にいえば、売り急ぎや買い進みなどによって、「普通ならこの条件では取引しない」という状況になっている場合を指します。

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