「一番価値を活かせる使い方」は、どうやって判断する?
土地や建物には、さまざまな使い方があります。
たとえば、現在は古い一戸建てが建っている土地でも、そのまま住宅として使う方法もあれば、建て替えたり、別の使い方をしたりすることも考えられます。
不動産鑑定では、その不動産の価値を最も活かせる使い方を考えることが重要になります。これが「最有効使用」という考え方です。
ただし、「一番高く使えそうなら、それが最有効使用」という単純な話ではありません。
土地の形や広さ、周辺の環境、法律による制限などを踏まえ、本当に実現できる使い方なのかを考える必要があります。また、その地域で一般的にどのような使われ方が求められているのかという市場の視点も欠かせません。
つまり最有効使用を判断するときは、「理論上できそうな使い方」ではなく、その不動産と地域の実情を踏まえて、現実的に価値を最も活かせる使い方を考えることが大切です。
ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、最有効使用を判定するときにどのような点に注意する必要があるのかを見ていきましょう。
最有効使用の判定上の留意点
基準では、「不動産の最有効使用の判定に当たっては、次の事項に留意すべきである」と、以下の7つが挙げられています。
留意点①
良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろうと考えられる使用方法であること。
留意点②
使用収益が将来相当の期間にわたって持続し得る使用方法であること。
留意点③
効用を十分に発揮し得る時点が予測し得ない将来でないこと。
留意点④
個々の不動産の最有効使用は、一般に近隣地域の地域の特性の制約下にあるので、個別分析に当たっては、特に近隣地域に存する不動産の標準的使用との相互関係を明らかにし判定することが必要であるが、対象不動産の位置、規模、環境等によっては、標準的使用の用途と異なる用途の可能性が考えられるので、こうした場合には、それぞれの用途に対応した個別的要因の分析を行った上で最有効使用を判定すること。
最有効使用は、基本的に近隣地域の標準的使用を踏まえて判断します。
ただし、対象不動産の位置・規模・環境などによっては、標準的使用とは異なる使い方が最有効使用となる可能性もあります。その場合は、それぞれの用途について個別的要因を分析したうえで、最有効使用を判定します。
留意点⑤
価格形成要因は常に変動の過程にあることを踏まえ、特に価格形成に影響を与える地域要因の変動が客観的に予測される場合には、当該変動に伴い対象不動産の使用方法が変化する可能性があることを勘案して最有効使用を判定すること。
特に、建物及びその敷地の最有効使用の判定に当たっては、次の事項に留意すべきである。
最有効使用は、現在の状況だけでなく、将来の地域の変化によって対象不動産の使われ方が変わる可能性まで考えて判定する必要があります。
特に建物及びその敷地では、土地と建物を一体として考えながら、現在の使い方が本当に最有効使用なのかを慎重に判断することが重要です。
留意点⑥
現実の建物の用途等が更地としての最有効使用に一致していない場合には、更地としての最有効使用を実現するために要する費用等を勘案する必要があるため、建物及びその敷地と更地の最有効使用の内容が必ずしも一致するものではないこと。
建物及びその敷地の最有効使用は、その土地を更地として考えた場合の最有効使用と、必ずしも同じになるとは限りません。
なぜなら、現在の建物が更地としての最有効使用に合っていなくても、建替えや用途変更などには費用がかかるため、その費用も考えて最有効使用を判断する必要があるからです。
留意点⑦
現実の建物の用途等を継続する場合の経済価値と建物の取壊しや用途変更等を行う場合のそれらに要する費用等を適切に勘案した経済価値を十分比較考量すること。
建物及びその敷地の最有効使用を考えるときは、現在の建物をそのまま使い続ける場合と、建物を取り壊したり用途変更したりする場合のどちらが経済的に有利かを比較します。
その際、建物の取壊しや用途変更などにかかる費用も含めて、どの使い方が最も経済価値を高められるのかを判断するということです。