不動産の純収益はどのように計算する?
収益還元法では、不動産が将来生み出すと期待される「純収益」をもとに価格を求めます。
では、その純収益は具体的にどのように計算するのでしょうか。
基本となるのは、不動産から得られる収益を把握し、そこから必要な費用を差し引くという考え方です。
たとえば、賃貸マンションであれば、入居者から受け取る家賃や駐車場収入などが収益にあたります。一方、建物の維持管理費や修繕費、固定資産税などは費用にあたります。
仮に年間の総収益が800万円、総費用が300万円であれば、純収益は500万円となります。
しかし、実際の純収益の算定では、単に現在の収入と支出を差し引くだけでは十分ではありません。
空室や家賃の滞納による収入の減少、将来の修繕に必要な費用なども考慮し、その不動産が通常の状態で継続的に生み出すと期待される収益を適切に見積もる必要があります。
また、収益還元法では、純収益を減価償却費を控除する前のものとして求めるか、控除した後のものとして求めるかによって、計算上の取り扱いが異なります。
つまり純収益の算定とは、不動産の収入と費用を適切に把握し、その不動産が持つ本来の収益力を金額で表す作業なのです。
ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、純収益を算定する際の具体的な考え方や注意点を見ていきましょう。
純収益の求め方
不動産の収益を考えるときは、**「1年間でいくら利益が残るか」だけでなく、「その利益がいつまで続くのか」**も重要です。
さらに、建物の価値の減少を費用として差し引くかどうかでも純収益は変わります。純収益の計算方法と、それを価格に換算する方法をそろえないと、適正な収益価格は求められないということです。
対象不動産の純収益は、一般に1年を単位として総収益から総費用を控除して求めるものとする。また、純収益は、永続的なものと非永続的なもの、償却前のものと償却後のもの等、総収益及び総費用の把握の仕方により異なるものであり、それぞれ収益価格を求める方法及び還元利回り又は割引率を求める方法とも密接な関連があることに留意する必要がある。
なお、直接還元法における純収益は、対象不動産の初年度の純収益を採用する場合と標準化された純収益を採用する場合があることに留意しなければならない。
純収益の算定
不動産の将来の収益は、景気や入居状況などによって変わるため、「今まで利益が増えてきたから、これからも増え続ける」とは限りません。
特にDCF法では、将来の各年の収益や売却時の価格まで予測するため、楽観的な見通しで価格が高くなりすぎないよう、根拠を慎重に確かめることが重要です。
純収益の算定に当たっては、対象不動産からの総収益及びこれに係る総費用を直接的に把握し、それぞれの項目の細部について過去の推移及び将来の動向を慎重に分析して、対象不動産の純収益を適切に求めるべきである。この場合において収益増加の見通しについては、特に予測の限界を見極めなければならない。
特にDCF法の適用に当たっては、毎期の純収益及び復帰価格並びにその発生時期が明示されることから、純収益の見通しについて十分な調査を行うことが必要である。
なお、直接還元法の適用に当たって、対象不動産の純収益を近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産の純収益によって間接的に求める場合には、それぞれの地域要因の比較及び個別的要因の比較を行い、当該純収益について適切に補正することが必要である。