家賃収入だけではない?「総収益」の求め方と注意点
賃貸マンションやアパートの収益を考えるとき、まず思い浮かぶのは毎月の家賃収入ではないでしょうか。
しかし、不動産から得られる収益は家賃だけとは限りません。駐車場の使用料や共益費など、不動産の利用に伴って得られる収入もあります。
収益還元法では、こうした収入を適切に把握して**「総収益」**を求めます。
ただし、現在受け取っている収入をそのまま合計すればよいわけではありません。
たとえば、すべての部屋が満室であれば多くの家賃収入を得られますが、実際には空室が発生したり、家賃が滞納されたりすることもあります。
また、現在の家賃が周辺の相場と大きく異なっている場合には、その金額を将来も継続して得られるのかを考える必要があります。
つまり総収益の算定では、**「今いくら入ってきているか」だけでなく、「その不動産から通常どれくらいの収入が得られると期待できるか」**を判断することが大切です。
ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、総収益に含まれる収入の種類や、算定する際の留意点を詳しく見ていきましょう。
総収益の算定及び留意点
①賃貸用不動産
賃貸用不動産の収益力を考えるときは、毎月の家賃だけでなく、その不動産を貸すことで得られる収入全体に目を向けることが大切です。
また、満室の状態がずっと続くとは限らず、契約内容によって収入の仕組みも異なります。 特にDCF法では、こうした変化が将来の収益にどう影響するかを考える必要があります。
賃貸用不動産の総収益は、一般に、支払賃料に預り金的性格を有する保証金等の運用益、賃料の前払的性格を有する権利金等の運用益及び償却額並びに駐車場使用料等のその他収入を加えた額(支払賃料等)とする。賃貸用不動産についてのDCF法の適用に当たっては、特に賃貸借契約の内容並びに賃料及び貸室の稼動率の毎期の変動に留意しなければならない。
また、留意点として以下の点があります。
なお、賃貸用不動産のうち賃借人により賃貸以外の事業に供されている不動産の総収益の算定及び賃貸以外の事業の用に供する不動産の総収益の算定に当たっては、当該不動産が供されている事業について、その現状と動向に十分留意しなければならない。
②賃貸以外の事業の用に供する不動産
たとえばホテルの売上には、建物や立地の良さによる収益だけでなく、接客サービスや経営者の工夫によって生まれる収益も含まれています。
そのため、不動産そのものの収益力を考えるには、事業全体の売上と、不動産が生み出す収益を区別することが大切です。
賃貸以外の事業の用に供する不動産の総収益は、一般に、売上高とする。ただし、賃貸以外の事業の用に供する不動産であっても、売上高のうち不動産に帰属する部分をもとに求めた支払賃料等相当額、又は、賃貸に供することを想定することができる場合における支払賃料等をもって総収益とすることができる。
③更地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定する場合
土地の価値を収益から考えるときは、**現在の使われ方だけでなく、「この土地を最も有効に活用したら、どれだけ収益を生み出せるか」**という視点が重要です。
そのため、最有効使用に適した建物を建てた場合の収益力を考えることが、土地本来の価値を判断する手がかりになります。
対象不動産に最有効使用の賃貸用建物等の建設を想定し、当該複合不動産が生み出すであろう総収益を適切に求めるものとする。