不動産鑑定評価基準

総費用の算定及び留意点

不動産の収益を考えるうえで欠かせない「総費用」とは?

賃貸マンションやアパートを所有していると、毎月の家賃収入が得られます。しかし、その収入がすべて手元に残るわけではありません。

建物の清掃や設備の点検、故障した設備の修理、固定資産税の支払いなど、不動産を維持・運営するためにはさまざまな費用がかかります。

収益還元法では、こうした費用を適切に把握して**「総費用」**を求めます。

たとえば、年間の家賃収入が600万円あっても、維持管理などに200万円かかる物件と、400万円かかる物件では、実際に生み出す利益が大きく異なります。

つまり、不動産の収益力を正しく判断するためには、収入だけでなく、どれくらいの費用が必要なのかを知ることが重要なのです。

ただし、現在支払っている費用をそのまま合計すればよいわけではありません。

たとえば、長年修繕をしていない建物は、現在の支出が少なくても、今後大きな修繕費が必要になるかもしれません。反対に、一時的に多額の修繕費が発生した年だけを見ても、通常の費用負担を正しく判断できない場合があります。

そのため総費用の算定では、**「今いくら支払っているか」だけでなく、「その不動産の収益を維持するために、通常どれくらいの費用が必要か」**を考えることが大切です。

ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、総費用に含まれる費用の種類や、算定する際の留意点を詳しく見ていきましょう。

総費用の算定及び留意点

①賃貸用不動産

賃貸用不動産の総費用は、減価償却費、維持管理費(維持費、管理費、修繕費等)、公租公課(固定資産税、都市計画税等)、損害保険料等の諸経費等を加算して求めるものとする。

かんてい先生
かんてい先生

賃貸用不動産は、家賃が入ってくる一方で、その収入を得るために建物を維持し、使える状態に保ち続ける必要があります。

また、実際にお金を支払う費用だけでなく、建物の価値が年々減少することも費用として考えるのがポイントです。

②賃貸以外の事業の用に供する不動産

かんてい先生
かんてい先生

たとえばホテルの売上には、建物や立地の良さだけでなく、接客サービスや経営者の工夫によって生まれる収益も含まれています。

そのため、不動産そのものの収益力を考えるには、事業全体の売上と、不動産が生み出す収益を区別することが大切です。

賃貸以外の事業の用に供する不動産の総収益は、一般に、売上高とする。ただし、賃貸以外の事業の用に供する不動産であっても、売上高のうち不動産に帰属する部分をもとに求めた支払賃料等相当額、又は、賃貸に供することを想定することができる場合における支払賃料等をもって総収益とすることができる。

③総費用を求める留意事項

かんてい先生
かんてい先生

DCF法では、費用がいくらかかるかだけでなく、いつ発生するかによっても不動産の価値が変わります。

たとえば、同じ1,000万円の修繕費でも、購入直後に必要なのか、10年後に必要なのかでは、投資家にとっての負担が異なります。将来のお金の出入りを、その発生時期まで含めて考えることが重要です。

なお、DCF法の適用に当たっては、特に保有期間中における大規模修繕費等の費用の発生時期に留意しなければならない。

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