不動産鑑定評価基準

不動産鑑定士の責務

不動産鑑定士には、なぜ重い責任があるの?

不動産鑑定士は、土地や建物の「適正な価値」を判断する専門家です。

不動産の価格は、売買だけでなく、相続や税金、公共用地の取得など、私たちの生活や社会のさまざまな場面に影響します。そのため、鑑定士が間違った判断をしたり、自分に都合のよい評価をしたりすると、多くの人に影響を与える可能性があります。

だからこそ不動産鑑定士には、単に「不動産の価格を計算する人」ではなく、専門家として公正な立場を守り、責任をもって鑑定評価を行うことが求められています。

不動産鑑定評価基準の解釈

不動産鑑定士は、不動産の価値を判断する専門家として、社会から信頼される責任の大きな仕事です。

そのため、常に知識を磨き、秘密を守るのはもちろん、誰から依頼されても公平・誠実に評価することが求められます。「専門家だからこそ、自分を律する」ことが大切なんですね。

かんてい先生
かんてい先生

不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を担当する者として、十分に能力のある専門家としての地位を不動産の鑑定評価に関する法律によって認められ、付与されるものである。

不動産鑑定評価基準

不動産鑑定士は、具体的に以下の5つの項目を遵守しなければいけません。

①常に勉強し、知識・経験・判断力を磨き続ける
②鑑定結果をわかりやすく説明し、社会からの信頼を高める
③どんな事情があっても、公平な立場で鑑定する
④専門家として十分に注意を払って鑑定する
⑤能力を超える仕事や、公平に鑑定できない仕事は原則として引き受けない

不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価の社会的公共的意義を理解し、その責務を自覚し、的確かつ誠実な鑑定評価活動の実践をもって、社会一般の信頼と期待に報いなければならない。
そのためには、まず、不動産鑑定士は、同法に規定されているとおり、良心に従い、誠実に不動産の鑑定評価を行い、専門職業家としての社会的信用を傷つけるような行為をしてはならないとともに、正当な理由がなくて、その職務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないことはいうまでもなく、さらに次に述べる事項を遵守して資質の向上に努めなければならない。

(1)高度な知識と豊富な経験と的確な判断力とが有機的に統一されて、初めて的確な鑑定評価が可能となるのであるから、不断の勉強と研鑚とによってこれを体得し、鑑定評価の進歩改善に努力すること。
(2)依頼者に対して鑑定評価の結果を分かり易く誠実に説明を行い得るようにするとともに、社会一般に対して、実践活動をもって、不動産の鑑定評価及びその制度に関する理解を深めることにより、不動産の鑑定評価に対する信頼を高めるよう努めること。
(3)不動産の鑑定評価に当たっては、自己又は関係人の利害の有無その他いかなる理由にかかわらず、公平妥当な態度を保持すること。
(4)不動産の鑑定評価に当たっては、専門職業家としての注意を払わなければならないこと。
(5)自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価を引き受け、又は縁故若しくは特別の利害関係を有する場合等、公平な鑑定評価を害する恐れのあるときは、原則として不動産の鑑定評価を引き受けてはならないこと。

不動産鑑定評価基準

証券化対象不動産の鑑定評価に対する責務

かんてい先生
かんてい先生

証券化対象不動産の鑑定評価は、投資家保護にも関わるため、不動産鑑定士にはより重い責任が求められます。

不動産鑑定評価基準では、総論第1章で不動産鑑定評価の基本的な考え方が示されていますが、それとは別に「証券化対象不動産」の章でも、不動産鑑定士の責務について改めて定められています。

書かれている内容は基本的に共通していますが、証券化対象不動産の鑑定評価では、不動産鑑定士の責務の重要性がより強く示されています。

(1)不動産鑑定士は、証券化対象不動産の鑑定評価の依頼者(以下単に「依頼者」という。)のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼすことを考慮するとともに、不動産鑑定評価制度に対する社会的信頼性の確保等について重要な責任を有していることを認識し、証券化対象不動産の鑑定評価の手順について常に最大限の配慮を行いつつ、鑑定評価を行わなければならない。

(2)不動産鑑定士は、証券化対象不動産の鑑定評価を行う場合にあっては、証券化対象不動産の証券化等が円滑に行なわれるよう配慮しつつ、鑑定評価に係る資料及び手順等を依頼者に説明し、理解を深め、かつ、協力を得るものとする。
また、証券化対象不動産の鑑定評価書については、依頼者及び証券化対象不動産に係る利害関係者その他の者がその内容を容易に把握・比較することができるようにするため、鑑定評価報告書の記載方法等を工夫し、及び鑑定評価に活用した資料等を明示することができるようにするなど説明責任が十分に果たされるものとしなければならない。
(3)証券化対象不動産の鑑定評価を複数の不動産鑑定士が共同して行う場合にあっては、それぞれの不動産鑑定士の役割を明確にした上で、常に鑑定評価業務全体の情報を共有するなど密接かつ十分な連携の下、すべての不動産鑑定士が一体となって鑑定評価の業務を遂行しなければならない。

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