不動産鑑定評価基準

不動産の価格に関する11の諸原則

不動産の価格に関する「諸原則」とは?

家や土地の価格は、いったいどのように決まるのでしょうか。

「駅から近ければ高い」「広い土地なら高い」といったイメージはあると思います。しかし実際の不動産価格は、それほど単純ではありません。

たとえば、同じ土地でも、その場所を欲しい人が増えれば価格は上がりやすくなります。反対に、近くにもっと条件がよくて安い土地があれば、「それなら、そちらを買おう」と考える人もいるでしょう。また、今は住宅が建っている土地でも、別の使い方をしたほうが土地の価値を活かせる場合もあります。

このように、**不動産の価格が決まる背景には、いくつもの共通した考え方があります。**それを整理したものが「不動産の価格に関する諸原則」です。

名前だけを見ると少し難しそうですが、私たちが普段の買い物で「こっちのほうがお得」「人気があるから高い」と考えるのと似たものもあります。

不動産の価格がなぜ上がったり下がったりするのか。その基本的な仕組みを知るために、ここから一つずつ見ていきましょう。

不動産の鑑定評価に関する11の諸原則

かんてい先生
かんてい先生

「不動産の鑑定評価に関する11の諸原則」とは、不動産の価格がどのような考え方で成り立ち、変化していくのかを整理した基本ルールです。

少し難しそうな名前が並びますが、簡単にいえば、「なぜこの不動産はこの価格になるの?」を理解するための11の基本的な考え方なんですね。

 不動産の価格は、不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要に影響を与える諸要因の相互作用によって形成されるが、その形成の過程を考察するとき、そこに基本的な法則性を認めることができる。不動産の鑑定評価は、その不動産の価格の形成過程を追究し、分析することを本質とするものであるから、不動産の経済価値に関する適切な最終判断に到達するためには、鑑定評価に必要な指針としてこれらの法則性を認識し、かつ、これらを具体的に現した以下の諸原則を活用すべきである。
 これらの原則は、一般の経済法則に基礎を置くものであるが、鑑定評価の立場からこれを認識し、表現したものである。
 なお、これらの原則は、孤立しているものではなく、直接的又は間接的に相互に関連しているものであることに留意しなければならない。

不動産鑑定評価基準

①需要と供給の原則

一般に財の価格は、その財の需要と供給との相互関係によって定まるとともに、その価格は、また、その財の需要と供給とに影響を及ぼす。
不動産の価格もまたその需要と供給との相互関係によって定まるのであるが、不動産は他の財と異なる自然的特性及び人文的特性を有するために、その需要と供給及び価格の形成には、これらの特性の反映が認められる。

かんてい先生
かんてい先生

不動産の価格も、基本は「欲しい人」と「売りたい人」のバランスで決まります。ただし、不動産は同じものが二つとなく、場所も動かせないという特別な性質があります。そのため、一般の商品よりも需要と供給の影響が複雑に価格へ表れるんですね。

②変動の原則

 一般に財の価格は、その価格を形成する要因の変化に伴って変動する。
 不動産の価格も多数の価格形成要因の相互因果関係の組合せの流れである変動の過程において形成されるものである。したがって、不動産の鑑定評価に当たっては、価格形成要因が常に変動の過程にあることを認識して、各要因間の相互因果関係を 動的に把握すべきである。特に、不動産の最有効使用を判定するためには、この変動の過程を分析することが必要である。

かんてい先生
かんてい先生

不動産の価格は、ずっと同じではありません。人口や景気、周辺環境など、価格に影響するさまざまな要因が互いに影響しながら変化することで、価格も動いていきます。 そのため鑑定評価では、「今どうなっているか」だけでなく、これからどう変化していくかまで考えることが大切なんですね。

③代替の原則

代替性を有する二以上の財が存在する場合には、これらの財の価格は、相互に影響を及ぼして定まる。
不動産の価格も代替可能な他の不動産又は財の価格と相互に関連して形成される。

かんてい先生
かんてい先生

不動産の価格は、その不動産だけを見て決まるわけではありません。同じような条件で代わりに選べる不動産がいくらなのかによって、お互いの価格が影響を受けます。つまり、似た物件の価格と比べながら価値が決まっていくんですね。

④最有効使用の原則

 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。
 なお、ある不動産についての現実の使用方法は、必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、不合理な又は個人的な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。

かんてい先生
かんてい先生

不動産の価値は、「今どう使われているか」ではなく、「その不動産を最も有効に活かすなら、どう使うのがよいか」を基準に考えます。たとえば、今は駐車場として使われていても、その土地にマンションを建てるのが合理的であれば、現在の使い方だけで価値を判断しないんですね。

⑤均衡の原則

 不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるためには、その構成要素の組合せが均衡を得ていることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、この均衡を得ているかどうかを分析することが必要である。

かんてい先生
かんてい先生

不動産は、土地と建物などの組み合わせのバランスがよいほど、その力を十分に発揮できます。 たとえば、広い土地に小さすぎる建物が建っている場合などは、土地を十分に活かせていないかもしれません。最有効使用を考えるときは、この「組み合わせのバランス」を見ることが大切なんですね。

⑥収益逓増及び逓減の原則

 ある単位投資額を継続的に増加させると、これに伴って総収益は増加する。しかし、増加させる単位投資額に対応する収益は、ある点までは増加するが、その後は減少する。
 この原則は、不動産に対する追加投資の場合についても同様である。

かんてい先生
かんてい先生

かんてい先生のコメント

不動産にお金をかければ、最初はそれに見合って収益も増えていきます。しかし、投資を増やし続けると、やがて追加したお金ほどには収益が増えなくなります。 つまり、不動産への投資は「お金をかければかけるほど得」というわけではないんですね。

⑦収益配分の原則

土地、資本、労働及び経営(組織)の各要素の結合によって生ずる総収益は、これらの各要素に配分される。
したがって、このような総収益のうち、資本、労働及び経営(組織)に配分される部分以外の部分は、それぞれの配分が正しく行われる限り、土地に帰属するものである。

かんてい先生
かんてい先生

不動産から得られる収益は、すべてが土地の力で生まれるわけではありません。建物などの資本、人の労働、経営の働きに見合う分を差し引き、最後に残った収益が土地に帰属すると考えます。つまり、土地の価値を考えるには、まず他の要素が生み出した分をきちんと分ける必要があるんですね。

⑧寄与の原則

不動産のある部分がその不動産全体の収益獲得に寄与する度合いは、その不動産全体の価格に影響を及ぼす。
この原則は、不動産の最有効使用の判定に当たっての不動産の追加投資の適否の判定等に有用である。

かんてい先生
かんてい先生

不動産の一部分にお金をかけたとき、その部分が不動産全体の価値をどれだけ高めるかが大切です。たとえば100万円かけて設備を追加しても、不動産全体の価値が100万円上がるとは限りません。「かけた費用」ではなく「全体の価値にどれだけ貢献したか」で考えるんですね。

⑨適合の原則

不動産の収益性又は快適性が最高度に発揮されるためには、当該不動産がその環境に適合していることが必要である。したがって、不動産の最有効使用を判定するためには、当該不動産が環境に適合しているかどうかを分析することが必要である。

かんてい先生
かんてい先生

不動産は、周りの環境に合った使い方をすることで、その価値を十分に発揮できます。 たとえば、住宅街なら住宅としての利用が周囲になじみやすいように、最有効使用を考えるときは、その不動産と周辺環境との相性を見ることが大切なんですね。

⑩競争の原則

一般に、超過利潤は競争を惹起し、競争は超過利潤を減少させ、終局的にはこれを消滅させる傾向を持つ。不動産についても、その利用による超過利潤を求めて、不動産相互間及び他の財との間において競争関係が認められ、したがって、不動産の価格は、このような競争の過程において形成される。

かんてい先生
かんてい先生

大きな利益が得られる不動産の使い方があると、「自分もやろう」と参入する人が増えて競争が起こります。 すると次第に大きな利益は得にくくなります。不動産の価格も、こうした「利益を求める人たちの競争」の中で形成されていくんですね。

⑪予測の原則

財の価格は、その財の将来の収益性等についての予測を反映して定まる。
不動産の価格も、価格形成要因の変動についての市場参加者による予測によって左右される。

かんてい先生
かんてい先生

不動産の価格は、現在の状況だけでなく、「将来どうなりそうか」という予測にも左右されます。 たとえば、今後人口が増えたり、駅ができたりすると予想されれば、その期待が現在の価格にも反映されます。つまり、将来への期待も今の価格を動かすんですね。

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