不動産鑑定評価基準

割引率を求める方法

将来の収益を現在の価値に直す「割引率」はどうやって求める?

収益還元法のDCF法では、不動産から将来得られる純収益を、それぞれ現在の価値に換算して価格を求めます。

その計算に使われるのが「割引率」です。

たとえば、1年後に受け取る100万円と、5年後に受け取る100万円では、今の時点での価値は同じとは限りません。

将来の収益には、受け取るまでの時間だけでなく、空室の発生や賃料の下落など、予想どおりに収益が得られない可能性もあるからです。

そこで、将来得られる収益を現在の価値に換算する際に、時間やリスクなどを反映する割合として割引率を用います。

では、その割引率はどのように決めるのでしょうか。

実際の不動産取引から投資家が期待する収益率を分析したり、金融市場の金利に不動産特有のリスクを考慮したりするなど、さまざまな考え方があります。

また、同じ不動産でも、将来の収益が安定しているかどうかによって、適切な割引率は異なります。

つまり、割引率は一律に決まる数字ではなく、市場の状況や対象不動産の収益性・リスクなどを踏まえて判断するものなのです。

ここからは、不動産鑑定評価基準に沿って、割引率を求める具体的な方法を見ていきましょう。

還元利回り及び割引率を求める際の留意点

かんてい先生
かんてい先生

不動産への投資では、ほかの投資先と比べて、どれだけの収益が期待でき、その収益を得るまでにどの程度のリスクがあるかが重要になります。そのため、金融市場の金利や運用利回りの変化は、割引率にも影響します。

また、同じ将来収益でも、立地や用途、建物の状態などによって収益を得られる確実性は異なるため、対象不動産の特性に応じた割引率を考える必要があります。

還元利回り及び割引率は、共に比較可能な他の資産の収益性や金融市場における運用利回りと密接な関連があるので、その動向に留意しなければならない。
さらに、還元利回り及び割引率は、地方別、用途的地域別、品等別等によって異なる傾向を持つため、対象不動産に係る地域要因及び個別的要因の分析を踏まえつつ適切に求めることが必要である。

割引率を求める方法

かんてい先生
かんてい先生

割引率を求めるには、以下の3つの方法があります。

(ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法

かんてい先生
かんてい先生

実際の取引価格には、投資家が将来の収益をどの程度確実に得られると考え、どれだけの利回りを求めたかという判断が反映されています。

ただし、その判断は取引時の市場環境や不動産の条件によって異なるため、取引事例から読み取った割引率を、対象不動産の収益性やリスクに見合うよう調整することが大切です。

この方法は、対象不動産と類似の不動産の取引事例から求められる割引率をもとに、取引時点及び取引事情並びに地域要因及び個別的要因の違いに応じた補正を行うことにより求めるものである。

(イ)借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法

かんてい先生
かんてい先生

不動産を購入する際、銀行から借りたお金には利息などの負担があり、自己資金にも投資したお金に対して期待する収益があります。

そのため、借入金と自己資金それぞれに求められる利回りを、資金の割合に応じて組み合わせることで、不動産全体に必要な利回りを考えることができます。

この方法は、対象不動産の取得の際の資金調達上の構成要素(借入金及び自己資金)に係る各還元利回りを各々の構成割合により加重平均して求めるものである。

(ウ)金融資産の利回りに不動産の個別性を加味して求める方法

かんてい先生
かんてい先生

土地と建物は一体として利用されていても、土地は基本的に経年によって消耗しない一方、建物は老朽化によって価値が減少するなど、収益性やリスクに違いがあります。

そのため、土地と建物それぞれの利回りを、全体の価格に占める割合に応じて組み合わせることで、建物及びその敷地全体に適した利回りを考えることができます。

この方法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合に、その物理的な構成要素(土地及び建物)に係る各還元利回りを各々の価格の構成割合により加重平均して求めるものである。

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